クリスマスに思うこと

10月31日にハロウィンが終わってから、街は12月24日に向けてクリスマスムードを少しずつ高めてきた。街路樹にはLEDが巻きつけられ、徐々に寒くなる気温に反比例するように2020年の終わりに向けて気持ちは昂ってくる。12月に入れば商店街のアーケードを歩くとクリスマスソングが繰り返されているし、駅前のような人通りの多い場所にはクリスマスツリーが設置され、我々がクリスマスというイベントに参加しないことを許さないという社会からの強い気概を感じずにはいられない。

12月24日にはケーキやチキンがこれでもかと売り飛ばされ、夜になるとコンビニやケーキ屋の入り口では安っぽいサンタ服を着た店員が声をあげてケースに入った商品を売り切ろうとしている。寒空の下でこんな仕事をさせられる彼らには同情を禁じ得ず、私がケーキやチキンを一個買えばそれだけ彼らの帰宅が早くなるのだろかという思いが頭によぎるが、どうせ私が買ったらその分が店の奥から出てきて補充されるだけだと言い聞かせて、後ろ髪を引かれるようにその場を離れる。

 

 

 

そんな景色を毎年見てきたし、今年も同じようにしてクリスマスの夜は更けていくのだろう、そう思って寒さに縮こまりながら駅から家まで歩いていると後ろから悲鳴が聞こえてきた。

振り返ると、全裸の中年男性がいた。いや、厳密には全裸ではなかった。赤いサンタ帽子はかぶっていた。

彼は叫ぶ。

「マッチ、マッチはいらんかね!よく燃えるマッチはいらんかね!」

それなりに人通りのあるところだったから、すぐに周囲には人だかりができた。ひそひそと話すカップル。笑いながらスマホのカメラを向ける若者の集団。警察に通報しているらしきスーツの男性。なぜ彼は全裸なのか。彼の言うマッチはどこにあるのか。突然の事態に頭が回らなくなり、その場に立ち尽くしてしまった。

ふと、人だかりの中から「マッチなんてねえじゃねえか」とやじが飛んだ。その通りだ。よく言ってくれた。だが、男はその方をキッと睨みつけると、帽子の中からライターを取り出し、野太い叫び声とともに陰毛を一本抜き取った。

彼の上げる声の力強さは、すなわち彼の感じる痛みだった。

「これがワシのマッチじゃ!」

叫んで乱れた息を整えた男はそう叫び、ライターで毛を炙ってみせた。ちりちりと焦げ、消えていく男の陰毛。ライターの火の方がよっぽど明るかった。カメラを向けていた若者の集団から1人が歩み寄り、万札1枚を出して男のマッチを買い上げた。ここで燃やしていってくださいよと笑いながら言う若者。男は手に握られた1万円と自分の股間を何度か交互に見て、自らの股間にライターの火をあてた。歯を食いしばり、顔を真っ赤にして耐える男。大体2000本とすると1本5円ということになるから、まあそんなものだろう。

遠くに聞こえたサイレンが間もなく音量を増し、角を曲がってきたパトカーの赤灯が男の顔を一層赤く照らした。毛布を持った警官が近づいてくるのにあわせて1人、また1人と消えていく野次馬に紛れ、私もその場を後にした。

寒い夜だった。天気予報で夜更け過ぎには雪が降ると言っていたのを思い出した。

 クリスマスには奇跡が起きるという。どんな小さなものでも良い、警察署でクリスマスを迎えるだろう彼にも、どうか奇跡のあらんことを。

 

良いクリスマスを。

以上

ズボンのチャックを全開にして電車に乗っていたらしいという話

先日、電車に乗って移動していたのだが、目的地に着くまでズボンのチャックが全開だったことに気がつかなかった。

このようなことは昔は無かったはずなのだが、最近、特にこの1年で特に目立つように思われる。

私は元々家を出る時はあれこれと確認してからでないと気が済まないタイプで、例えば戸締りはしたか、電気は消したか、携帯電話の充電コードとバッテリーはカバンに入れたか、そして最近はマスクを持っているかなどをしっかり確認してから出ているつもりである。

にも拘らず、ズボンのチャックを閉めるという基本的なことを忘れて外出するという事態は、不可能とまでは言わなくとも、非常に考えにくいと言わざるを得ない。

そもそも、朝起きて寝間着から着替えた際に、ズボンのチャックをちゃんと閉めないということがあるだろうか。

一度試してみて欲しいのだが、ズボンを履いてチャックを閉めないというのは実に気分が悪いというか、落ち着かないものである。

もちろん、一度チャックを閉めても例えばトイレに行けば開くことは事実である。しかしながら、この場合も、仮にチャックを閉めずにトイレを出ればその時点で大変な落ち着きのなさを感じる。これも容易に試すことができるだろう。

従って、朝寝間着から着替えた時点ではチャックはしっかり閉まっていると考えるのが妥当であり、これは家を出る際にも変わらないということができる。

一方、目的地に着いた時点ではチャックは全開であったから、移動中に何らかの理由で閉まった状態から開いた状態になったと考えられる。

以下では、その原因として考えられるものを挙げていき、それぞれの妥当性を検討していく。

チャックが開く原因として考えられるもの

まず、移動の際歩行の振動などが加わって開いてしまったという可能性を考えることができる。たしかに、中途半端に閉まった状態を作り出してズボンの特にチャック周りを様々な方向に引っ張ることで半開状態から全開状態になることは確認できた。

しかしながら、これが原因となるためには半開状態になっていることが前提である。家を出る時点で半開状態になっているとは考えられず、歩行の振動によって全閉状態から半開状態になることも考えにくい。実際、実験によっても全開状態から半開状態にすることはできなかった。

続いて、何者かが私に気づかれないように開けているという可能性を考えることができる。階段や坂道を登る際に、すれ違いざまに手を伸ばしてチャックをおろす等といった方法があるだろう。しかしながら、これも可能性としては困難であると言わざるを得ない。

すれ違いざまに前の人間のチャックをおろすのは極めて難しいからだ。そもそもファスナー部の構造は、ファスナーの金属部分が覆い隠されるようになっている。

そこで、すれ違いざまにチャックをおろそうとすると、すれ違うせいぜい0.1秒程度の間にこの覆い隠されたファスナー部を露出させ、一気におろさなければならない。

この程度の短時間で行うのは自分でも困難であるから、したがって、何者かが開けているという可能性も棄却される。

 

自然に開いたわけでもなく、誰かがすれ違いざまに開けたということでもない——この時点で原因究明は一度行き詰まりを見せていた。しかし、新たな説を思いついたので、ここで初めて紹介したいと思う。その原因とは、

 

 

 

 

 

5Gによる電磁波攻撃である。

 

 

 

 

 

突飛なことを言い出したと思われるかもしれない。電磁波で操られているなどと陰謀論を唱える人を見ると私も頭を抱えたくなるし、最近は5Gとコロナウイルスを結びつけるといった、義務教育の敗北としか形容できない珍説を唱える人も見受けられることを踏まえると、そういった思いも大変納得のいくものである。

しかし、私とて何の根拠もなしにこんなことを言っているのではない。

冷静にファスナーを見つめ直すと、金属素材でできているのだ。5Gも結局は電磁波であり、ファスナーの金属と電磁波が相互作用を引き起こす可能性があるというのは十分に考えられるだろう。

すなわち、何者かが私のズボンのチャックをめがけて5Gの電波を発しており、私はこれによって家を出るときは閉めてあったつもりのチャックがいつの間にか開いているという被害を受けていることになる。

5Gは最近になって普及しはじめたもので、これも最近になって私がこの被害を受け始めたということと矛盾しない。

具体的な攻撃手法やなぜ私が攻撃の対象になっているかについては今後のさらなる調査は必要と思われるが、ひとまず攻撃手段についてはある程度の知見が得られた。

今後はファスナー部にアルミホイルを巻いて外を移動する、常に手でチャックを押さえながら歩く等の方法により防御しつつ、攻撃を行っている主体の特定、反攻などに移行していこうと思う。

 

多分普通に忘れてるだけだと思うんですけど(名推理)

 

以上

故・中曽根康弘元総理に思うこと

故・中曽根康弘元総理の葬儀が10月18日にあったことを覚えているだろうか。費用が1億円にのぼることだとか国立大学に半旗掲揚や職員らの黙祷などで弔意を表明することを求めただとかでまあ反発もあったりしたが、そういったことについては個々人の思想もあるだろうから突っ込まないことにする。

 

重要なのは、我々が中曽根康弘元総理の遺体をこの目で見ていないことだ。

 

シュレディンガーの猫

量子力学に関する有名な思考実験に「シュレディンガーの猫」というものがある。箱の中にいる猫が50%の確率で死ぬようにセッティングされた箱に猫を入れた場合、箱の中の猫は生きている状態と死んでいる状態の重ね合わせで表されるというものである。

我々は中曽根元総理の遺体を見ていない。

ということは、棺の中にいると思われる中曽根元総理は、実際に亡くなっているとは限らないのである。棺を開けて遺体を確認するまでは亡くなっていない状態の中曽根元総理も存在していることになる。

 

というのは、実は正しくない。

 

そもそも、生きている猫と死んでいる猫の重ね合わせというのはナンセンスである。実際には猫というマクロな物体は生きているか死んでいるかのどちらかであり、重ね合わせの話は電子のようなミクロの物体の話である。

 

つまり、中曽根元総理も棺の中で死んでいる状態とそうでない状態の重ね合わせで表されるということはなく、実際には1つの「定まった状態」しかとっていない。

 

 

だが、我々は重要なことを見過ごしている。

 

たしかに中曽根元総理は棺の中で重ね合わせの状態で存在しているということはない。

 

だが、棺の中の「定まった状態」が亡くなった状態であるとは限らないのである。

 

私が思うに、中曽根元総理は今も存命である。

 

ではどこにいるのか。

 

自民党本部の地下である。

 

木を隠すなら森の中、自民党の名士であった中曽根元総理なら自民党本部ということであると思われる。

 

ではなぜ自民党本部の地下にいるのか。

 

中曽根元総理は巨大兵器に改造される手術を受けている最中なのだ。

1億円というのは実のところ、この改造手術に要する費用だったのだ。前例のない手術である。高額になるのも無理はなかろう。

 

 

想定されるシナリオはこうだ。

まず、元総理の訃報をマスコミなどを通して流す。同時に元総理には極秘裏に党本部の地下に入ってもらう。

巨大兵器改造手術の目処が立つまでは麻酔などを活用し時間を稼ぎ、目処がたったところで葬儀の費用として手術に要する費用を明らかにするのだ。

なるほど1億円というのは市民の感覚からすればなかなかに高額な葬儀かもしれない。しかし、そのインパクトによって葬儀がそもそもハッタリであるということは覆い隠される。

国立大学に弔意表明を求めたり会場前に自衛官を整列させたりしていたのもカモフラージュに念を入れるためと考えることができるだろう。

こういった行為が一部の人々からの批判を招くことなど政治家がわからないはずもない。あえてそのような行為に出ることで、隠したい事実からは目を逸させるのだ。

 

そうしてほとぼりが冷めたところで、自民党本部は二つに割れ、巨大兵器に改造された元総理が地下から出てくるのだ。

 

巨大兵器になった中曽根元総理は遠距離からの民営化ビームでHPを削り、接近戦では民営化パンチや民営化キックで的確にとどめをさす。

 

おそらく警察や自衛隊が対応することになるだろうが、彼らも効果的な対処は難しいかもしれない。彼らが民営化されてしまうからだ。民営化された場合の警察や自衛隊の能力は未知数だ。

 

かくして日本全国、さらに全世界が民営化され、巨大兵器となった中曽根元総理は太陽系の惑星、さらには銀河系、そして全宇宙を民営化すべく、宇宙へと飛んでいく。やがて神羅万象が民営化された時、巨大兵器はその役目を終えて停止するのだ。

 

そんなわけないだろ。

中曽根元総理のご冥福をお祈りします。

以上

魔女の旅々について思うこと

白石定規による小説「魔女の旅々」(以下、「魔女旅」と表記する)の主人公「イレイナ」については、本作のアニメ化以降そのわからせに関して多くの議論が交わされてきた。ここでは、現在の主要な学説として4つの説を提示する。すなわち、積極的肯定説、消極的肯定説、消極的否定説、積極的否定説である。以下、それぞれを比較検討していく。

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ベンチに座り食事をしているイレイナ。TVアニメ「魔女の旅々」8話より引用。

1.積極的肯定説

本学説では、わからせについて積極的に行うべきであるとの立場をとる。従来からわからせはいわば「生意気」なキャラクターが対象とされてきた。本説はイレイナを生意気なキャラクターであると捉えることで、わからせに対する積極的な根拠を与えている。しかしながら、本説は提唱当初は一定の支持を集めたものの、現在では特に生意気なキャラクターであると捉えること自体に対する根拠が薄弱であるとの批判が加えられており、主流説とはなっていない。

2.消極的肯定説

本説は、わからせについて積極的な支持を表明するものではないが、一定程度の合理性があるとするものである。積極的肯定説との相違点は、積極的肯定説がイレイナが生意気であるということを根拠にわからせを積極的に肯定するのに対し、本説では生意気であるとの解釈には疑問の余地があるとしながらも、その解釈には一定程度合理性を認める余地があるとしているところにある。本説は、上記の積極的肯定説に対し唱えられた疑問を受けて提唱されたものであり、当初積極的肯定説を支持していた者が批判を受けて本説を支持するようになった例も少なくない。

3.消極的否定説

本説は、わからせについて行うべきではないとの立場をとる。その根拠としては、上記消極的肯定説と同様、わからせに関して必要とされる生意気さが欠けているという点を挙げる。消極的肯定説との違いは、消極的肯定説については生意気であるとの解釈に疑問を呈しつつもその解釈にある程度の合理性を認めているのに対し、本説ではかかる解釈に疑問を呈した上で、疑問がある以上はわからせを行うべきではないという立場をとる点にある。本説も上記の積極的肯定説が批判されるようになってから提唱されたものである。

4.積極的否定説

本説は、わからせについて行ってはならないとの立場をとる。根拠としては消極的否定説と概ね同じであるが、本説と消極的否定説との最大の違いは、消極的否定説はわからせについて行うべきではないとする一方、わからせを行うこと自体を完全に否定するものではないのに対し、本説を採用する場合、完全に否定される。すなわち、「積極的」・「消極的」とはわからせを否定する強さの度合いということができる。本説は上記の三説とは独立に当初より提唱されている一方、余地を残さないという点に対しては近年疑問が呈されている。

以上が主要四学説の概要である。特に消極的肯定説と消極的否定説については、主張する内容が比較的近いこともありしばしば初学者が混同してしまうことがある。最大の違いは、わからせに対して根拠が薄弱な場合に認めるべきか否かという点における主張である。一方、否定説については消極的・積極的の二説がある。これらの違いについては、わからせを認める余地があるかどうかであると考えることができる。

なお、現在では積極的肯定説・積極的否定説には疑問が呈されており、有力説は消極的肯定説・消極的否定説であるが、わからせを認めるにあたっては十分な理由が必要であるとの観点から消極的否定説が通説となりつつある。

 

今季はイレイナさんでいかせていただいております*1。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

 

以上

*1:何を?

クルードラゴン1号機の打ち上げとISSへのドッキング成功について思うこと

去る11月16日(日本時間)、野口聡一さんら4人の宇宙飛行士を乗せた、アメリカの民間企業「スペースX」社の宇宙船「クルードラゴン」の1号機がケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

 

クルードラゴン1号機はその後、翌17日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着・ドッキングし、4人は無事にISSに到着した。

www3.nhk.or.jp

 

かつて、宇宙開発といえばアメリカとロシアの二国が牽引していた。

スプートニク1号・2号とアポロ11号のように、両国はある時は冷戦の対立構造を反映して互いに激しく競争し、またある時はアポロ・ソユーズテスト計画のように、米ソデタントの流れを汲み、互いに手を取り合って進めてきた。

その後、アメリカはスペースシャトル計画を開始。2011年7月にミッションSTS-135を終えてスペースシャトルアトランティス号が退役するまで、実に30年に渡ってスペースシャトルアメリカの宇宙開発を支えてきた。

白を基調としつつ要所要所を黒くしてメリハリを持たせ、翼を備えた特徴的な外観をした軌道船(オービター)、暗いオレンジ色の液体燃料タンク、固体燃料を納めてオービターの横に2本並ぶ白い補助ロケット。カウントがゼロになる直前に燃焼を開始して激しく炎を上げ、ゼロのカウントとともに発射台からゆっくりと上昇し、白煙の筋を残して青空へと飛び立っていくその姿は、ロケット打ち上げのいわば原風景となっている人も少なくないだろう。

www.youtube.com

スペースシャトルの退役後、計画はスペース・ローンチ・システム社のオリオン宇宙船に受け継がれたといえるが、開発や試験が完了するまで少なくとも数年はISSとの間での物資や人員の輸送はロシアのソユーズに頼ることとなった。

 

最後のスペースシャトル引退から9年。

ついに、アメリカが有人宇宙飛行に帰ってきた。ISSアメリカの宇宙船が戻ってきたのである。*1

1969年、私が生まれるずっとずっと前にはもうアポロ11号が月に行ったというのに、人類はいまだ月に行ったのみである。広大で深遠な宇宙のスケールを考えれば、薄皮にすら及ばないといえるだろう。しかし、スペースX社には火星有人飛行の計画もあるとされる。今後の宇宙開発のさらなる進展に期待したい。

 

 

 

さて、スペースX社は2002年に設立された、まだまだ新しい企業である。にも拘らず、この短期間で有人宇宙飛行という偉業の達成に至った。

さらに、スペースX社のCEO、イーロン・マスク氏は、今や時価総額トヨタをも抜き去った世界一の自動車メーカー、テスラ社のCEOでもある。

今更いうまでもないが、テスラ社の主要な製品といえば、優秀な自動運転技術を備えた電気自動車であろう。従来からのメーカー各社が日夜様々な努力を積み重ねて実現を目指している一方で、一歩先んじているといっても過言ではないだろう。

ここで一つの疑問が浮かぶ。

なぜ、イーロン・マスクはこれほどの短期間にこれほどの偉業を成し遂げたのだろうか?

今回は、その答えの一つとして考えられる可能性に焦点を当てて考えたい。

その可能性とは、一言で言えば

イーロン・マスクレプティリアンの末裔説

である。

多くの方がご存知のように、レプティリアンとはヒト型爬虫類のことである。

イーロン・マスク氏は南アフリカ出身であるが、仮に氏の遠い遠い祖先が火星からやってきたレプティリアンだとしたら、以下のような説明が考えられる。

白亜紀末、地球は大規模な隕石の衝突を経験した(いわゆるジャイアンインパクトである)。これにより巻き上げられた粉塵が太陽光を遮り、全球的な気温低下を引き起こした。メキシコのユカタン半島には巨大なクレーターがあり、またこの年代の地層には地球では希少だが隕石には豊富な元素であるイリジウムが大量に含まれていることもこの説を支持するものである。

だが、この隕石とされるものが火星人の宇宙船であったとしたらどうだろうか。

イリジウムは非常に硬く、また融点が高い。このため、加工が難しい一方、高い耐熱性・耐摩耗性を求められる場面においては非常に優れた素材であるといえる。

高い耐熱性という言葉から何かひらめかないだろうか。そう、宇宙船である。

かつてスペースシャトル・コロンビア号は打ち上げ時に剥離した耐熱タイルが機体に衝突し、帰還時に空中分解するという痛ましい事故を起こしている。宇宙船は大気圏への突入の際に断熱圧縮により高熱に晒されるのだ。

従って、一つの可能性として、火星人がイリジウムを主原料に使った巨大な宇宙船を制作、地球への移住を試みたと考えることができるだろう。その際、なんらかのトラブルにより宇宙船が地球への軟着陸に失敗、イリジウム製の巨大宇宙船はあたかも隕石のように地表にクレーターを作り、周囲の地表に大量のイリジウムを撒き散らしたのである。

おそらく多くの火星人は衝突により死亡したと思われるが、かろうじて生存した一部の火星人は地表に降り立ち、寒冷化が始まった地球で多くが命を落とすも、一部は生存し子孫を残したと考えられる。

www.excite.co.jp

時は進み、21世紀。地球の技術でも技術的問題を解決可能と踏んだイーロン・マスク氏は、スペースX社を設立。白亜紀以来およそ6550万年ぶりの、火星への里帰りの準備を始めたのである。

この説に立てば、なぜ宇宙開発と自動運転技術の開発を進めるのかにも説明を与えることができる。

宇宙開発は紛れもなく火星への里帰りの手段であるが、自動運転は将来恒常的な火星との移動手段の構築に向けた基礎技術開発と捉えることができる。今はまだ宇宙飛行士しか宇宙には行けないが、将来的に地球にいると思われる多くの火星人の末裔が火星と地球を往復するにあたっては、そのコストを下げるのはもちろん誰でも安全に宇宙船を飛ばせることが必須だ。そのためにはまず地上を走る車で自動運転の基礎技術を開拓、将来的にこれを空飛ぶ車に応用し、最終的には宇宙船の完全自動操縦を達成するのである。

従って、テスラ社は将来的には空飛ぶ車を開発することを目指していき、やがてはスペースX社と合併、完全自動操縦の宇宙船を開発することとなると考えることができるだろう。

www.youtube.com

 スペースX社のロケット「ファルコンヘビー」の初打ち上げの積荷はテスラ・ロードスターで、火星に向けて放出されたという。これもゆくゆくは里帰りするというメッセージと捉えることができるだろう。

そんなわけないだろ。

 

謝辞

この記事を書くにあたって、イーロン・マスク氏が宇宙人であるという奇抜なアイデアを提供してくれた私の親に心から感謝します。ちなみに「じゃあスティーブ・ジョブズも宇宙人か」と聞いたら「そうだ」と返されました。

 

 

以上

*1:厳密には5月にすでにスペースX社の宇宙船により有人宇宙飛行は達成されている。

アメリカ大統領選について思うこと2

大統領選もようやく一応の決着をみたようだ。

バイデン候補が当選に必要な過半数の選挙人を獲得することが確実となり、11月8日には勝利宣言をした

一方、敗れた形になるトランプ大統領は法廷闘争で徹底的に抵抗するという指針を以前から表明しており、場外乱闘も辞さない構えだ。

ところで、アメリカの選挙人はおおよそ人口を反映してその人数が決まる。これを踏まえると、トランプ大統領には秘策があると思われる。

日本を51番目の州とするのだ。

日本の人口は現象こそしているものの概ね1億程度、一方アメリカの人口は3億程度である。従って、日本の選挙人は単純計算で180人程度となり、これを加えるとトランプ大統領にも逆転の余地が出てくるということになるのだ。

法廷闘争ではおそらくこの線で攻めてくることになるだろう。日本政府の対応に注目したい。

 

 

 

ところで、おそらくこれを読む人の多くは大学生で、おおよそ20歳としてご両親が25歳から30歳の間に生まれたとすると、多くの人の親は50歳前後、あるいはそれ以上の年齢になるのではないだろうかと思う。

両親がYouTubeを見始めたとかツイッター等のSNSを始めたといった情報に接したら、十分注意した方が良い。

YouTubeなんかは音声を垂れ流しにして何かの作業をしながら音声だけ聞くという人も少なくないと思われるが、これが在宅勤務と組み合わされると仕事をしながらYouTubeで動画を垂れ流しにしているといった状況がしばしば生まれる。

オフィス勤務であれば、会社のPCで業務時間中にYouTubeの動画を1日何時間も再生していれば気づかれし、場合によっては注意されることもあるだろう。しかし、在宅勤務で私物のPCやタブレットを使用していれば、会社がそれに気づくことはない。

一方、YouTubeでは特に顕著に思われるが、これらのサービスは自分の好みに合ったコンテンツをお勧めしてくれるという傾向がある。

例えば旅行関連の動画を何本か見れば、同じチャンネルか別のチャンネルかという違いはあるものの旅行関連の動画が画面に表示されるようになる。

しかも、YouTubeには次の動画を自動で再生してくれる機能があるのだ。まさに「ながら視聴」にうってつけの機能といえるだろう。

これらが合わさった結果何が起こるか。

  1. 在宅勤務になるなどのきっかけで、私物のPCやタブレットYouTubeを見始める。YouTubeは50代前後の世代やもっと上の世代にも知名度があり、何らかのアプリをインストールせずともブラウザで容易に見ることができるからだ。
  2. ここで初期に触れるコンテンツによってYouTube側でその人の好みそうな動画を判定し、次々にお勧めしてくる。自動で次の動画が再生されるので、視聴者の側はただ待っているだけでも良い。
  3. 上で初期に何らかの政治的思想を比較的強く帯びた動画を見ていた場合、あとはその方向性の思想を帯びた動画が大量に連続再生される。
  4. 他の作業をしながらでも音声は流せるので、あまり忙しくない時には音声だけ流し続けながら仕事をする、あるいは夜の自由な時間を動画の視聴に充てるようになる。さすがに1日8時間とまではいかずとも、1日3時間程度見るということは十分考えられるだろう。

このようにして、特定の方向性の思想を持った動画を1日数時間視聴するというサイクルが確立される。

こういった下地ができていると、見ていた動画の方向性によっては「バイデンたちは不正選挙をしている、アメリカの多くのメディアはトランプさんをいじめている」といった考えを発言するようになる。

当然これも一つの考えで、実際アメリカのメディアが反トランプ色が強いように思われるが、不正選挙という点はやや怪しいように思われる。

日本の選挙では翌日には開票が終了して結果が出るが、今回の大統領選は特にバイデン候補への支持が厚い都市部の有権者の多くが民主党の呼びかけに応じて郵便投票を利用し、一方トランプ大統領への支持が強い地方の有権者は投票所で投票を行ったとされている。この結果、都市部の郵便投票の開票が遅れ、トランプ大統領が優勢だった州で終盤になってバイデン候補が逆転するという状況が見られたようだ。実際、開票速報を見ても特に開票の遅れていた州では都市部の開票率が低かった。これらの地域で都市部のバイデン票が最後にカウントされて逆転したという説明には説得力があるのも事実である。

もちろん日本の選挙に慣れた人間からすれば、特に州ごとの開票結果しか見ていなければ、ここで不正を疑うというのも大いに理解のできる考えではある。

読解力≠行間を読む力

現代文(特に論説文と呼ばれるタイプの文章)の試験では、何らかのステートメントに傍線が引かれ、「〜とあるが、どういうことか。」といった、説明を要求する問題がしばしば出題される。自分がこんな試験を受けていた時は「めんどくせえなあ」といった感情を抱きがちであったが、筆者が言っていることをその通りに理解するというのは試験で問題にできるくらい重要かつある程度の鍛錬が必要な能力なのである。

我々の会話は時に「行間を読む」行為あるいはこれに類する作業が重要になってくる。例えば「行けたら行く」は、単純な条件分岐だけではなく文脈によっては「行けない、行かない、行きたくない」といった意味になりうるし、「ぶぶ漬けでもどうどす?」は京都の人間が言えば「いい加減さっさと帰れこの野郎」といった意味にもなりうるのだ。

そして、会話における多くの場面で、論理的にどうであるかという読解は必ずしも適切ではなく、行間を読むことが求められる。ゆえに、多くの人間は何もしなければ行間を読む力を働かせてコミュニケーションを行うのではないだろうか。

「お前らの親がガチでトランプを支持していて夕飯一緒に食べてる時に選挙結果をバイデンの陰謀だって言い出したらどうする?(実話)」

 

久々に親と一緒に夕飯を食べていたら、マジでこう言ってきた。以前からトランプ大統領を支持しているということは(主観的には)割と強く表明してきていたので、これを言い出すこと自体はそれほど不思議ではない。しかし、そこで上に書いたような「不正というが都市部のバイデン票が集計されただけではないか」という話をしたのがいけなかった。

少なくとも「不正とされるが実態はこうではないか」と主張することとバイデン候補を支持することは論理的には関係ないはずだ。実際その時も今もどちらかの候補を明確に支持し、もう一方の候補を明確に支持しないということはない。

しかし、私も含め、日常会話というのはいちいち明確な論理構造を気にして行わないのが大半だ。どうも親にとって私の発言は私がバイデン候補を支持しているという印象を与えてしまったらしい。(私も親ももう立派な大人なのだから、些細なことで関係を悪くするのはできれば避けたいし、避けられると信じているが……)

 展望

親の言うアメリカのメディアがトランプさんをいじめているという主張は反トランプ色が強いメディアが多いという意味ではある程度正しいと思われる一方、不正選挙という話は今のところ信憑性がそれほど高いとまでは言えない。訴訟で不正があったなかったという話に決着がつくのはもうしばらくかかるだろうから、少なくともそれまでは、親は不正があったと考え続けるだろう。もっとも、仮に不正があったとして結果を覆すには至らないのではないだろうか。

その後トランプ陣営が敗訴したとして(つまり結果が覆るような不正はなかったという裁判所の判断が下されたとして)、親がトランプ敗北を受け入れるのか不正を主張し続けるのか、主観的には不正を主張し続けそうに思われるが、これも根拠のまったくない霊感なので、全く予想がつかない。

いずれにせよ、何らかの政治的思想に完全に凝り固まってしまうのは良いことばかりとは思えない。いわゆるエコーチェンバーという現象がツイッターをはじめとしたSNSでは発生しやすいと言われているが、YouTubeも同様であるといえるだろう。もしここまで読んだ人の親がYouTubeを見始めたら、あるいはツイッターのようなSNSを始めたら、こういったことになる可能性を頭に留めておいてもいいだろう。一緒に顔を合わせて話せれば、完全に思想が固まってしまうことも防げるかもしれない。

 

 

 

でもガチで不正やってたらそれはそれでめちゃくちゃ面白いので正直トランプ陣営には徹底的に法廷闘争で抵抗して欲しい。

 

以上

アメリカ大統領選について思うこと

アメリカ大統領選がアツい。

両者激しい接戦を繰り広げ、双方が勝利宣言をする始末だ。エンターテイメントとして実に完成度が高い。やはりハリウッドを抱え世界のエンターテインメントを牛耳ってきた国は選挙もエンターテイメントにすることに余念がないのだろう。

ましてやプロレスにも造詣の深いトランプ大統領のことだ。

gendai.ismedia.jp

トランプ大統領が負ければおそらく法廷闘争に持ち込むとされているが、これも彼なりの場外乱闘ということだろう。

それに比べて日本の選挙ときたら、投票終了即当確が出た前回の都知事選を振り返るに、実に恥ずかしい。我々もせめてあの赤い帽子をかぶるところから始めた方がいいんじゃないだろうか。

この選挙の展開を振り返ると、メディアの報道をみるにバイデン前副大統領が優勢かと思いきや蓋を開けてみるとトランプ大統領が健闘し一時は優勢になるも、終盤になって都市部の郵便投票の開票が進むにつれて次第に都市部からの支持が大きいバイデン候補が激しい追い上げを見せる展開となった。この記事を書いている段階ではいまだ決着がついていない。

勝者はバイデン

しかし、この選挙、実は戦う前から結末は決まっていたのだ。トランプ大統領といえば、我が国の安倍前首相と非常に親密な関係にあったことで知られている。

 これほど親密な関係にあった安倍前首相とトランプ大統領。太平洋の海底数千メートルに敷設された日米ホットラインでは、広大な海を挟んで日夜2人の熱い言葉が交わされていたに違いない。両氏は任期が終わるのも比較的近く、来期も一緒に国家元首の座に就き、日米の関係をさらに密接にしていこうと誓い合っていたと考えるのが妥当だろう。

そんな中、突然の辞意表明。トランプ大統領の受けた衝撃は察するに余りある。毎晩のように言葉を交わした遠距離恋愛の相手が突然一方的に別れを切り出したのだ。好物とされるボリュームたっぷりのハンバーガーを食べてもきっと胸焼けを起こしていたことだろう。

rocketnews24.com

それでも、彼には戦わなければならない理由があった。一貫して強い男を演じてきたトランプ大統領。その強さがたとえ虚構であったとしても、虚構を貫き通すことこそが強さなのだ。シンゾーが日本の首相に返り咲く日が来ることなどもはや来るはずがないと分かっていても、彼にはシンゾーの帰りを待ち続ける以外の選択肢はない。仮に大統領選という勝負を勝ち取ったところで、シンゾーとホワイトハウスで会うことが叶わぬ願いだと知っても、

ホワイトハウスはいつでもお前を待っているぞ」

というメッセージを日本から見ているシンゾーに送る。それが、不動産王として成り上がり、財産、名誉、地位を獲得した、ドナルド・J・トランプという男の、安倍晋三に対する最後の義理なのだ。

しかし悲しいかな、シンゾーという精神的支柱を失ったトランプには、もはやこの選挙戦を最後まで戦い抜くパワーなど残っていなかったのだ。それでも、老体に鞭を打ち、コロナ感染を乗り越え、最後の体力を振り絞ってアメリカ全土を駆け回り遊説を行ったトランプ大統領

破産と復活を繰り返してきた彼のことだ。冷静に自分の体力を見つめ、自分がこの勝負を戦い抜くリソースを持ち合わせていないこと、すなわちこの勝負に乗れば玉砕を覚悟せねばならないことなど知っていたに違いない。それでも、根性と気力で戦い続け、遂には最高裁で不正選挙の訴えが棄却されたところで刀折れ矢尽き、立ち往生する。やがて裁判所の前にはその時の彼の姿を彫った銅像が設置されるに違いない。銅像はきっとアメリカの新たな観光名所となることだろう。

 

余談だが、どうもインターネットには国家元首の陰茎開示を求める動きがあるようだ。バイデン候補が大統領に就任すれば#ちんぽを見せろジョーバイデンということになるのだろう。こっちの方が語感がいいし多分バイデンが勝つと思う。

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選挙戦が終わったらハワイあたりで両夫婦揃ってゴルフとバーベキューしてたりしそう

 

以上