アメリカ大統領選について思うこと2

大統領選もようやく一応の決着をみたようだ。

バイデン候補が当選に必要な過半数の選挙人を獲得することが確実となり、11月8日には勝利宣言をした

一方、敗れた形になるトランプ大統領は法廷闘争で徹底的に抵抗するという指針を以前から表明しており、場外乱闘も辞さない構えだ。

ところで、アメリカの選挙人はおおよそ人口を反映してその人数が決まる。これを踏まえると、トランプ大統領には秘策があると思われる。

日本を51番目の州とするのだ。

日本の人口は現象こそしているものの概ね1億程度、一方アメリカの人口は3億程度である。従って、日本の選挙人は単純計算で180人程度となり、これを加えるとトランプ大統領にも逆転の余地が出てくるということになるのだ。

法廷闘争ではおそらくこの線で攻めてくることになるだろう。日本政府の対応に注目したい。

 

 

 

ところで、おそらくこれを読む人の多くは大学生で、おおよそ20歳としてご両親が25歳から30歳の間に生まれたとすると、多くの人の親は50歳前後、あるいはそれ以上の年齢になるのではないだろうかと思う。

両親がYouTubeを見始めたとかツイッター等のSNSを始めたといった情報に接したら、十分注意した方が良い。

YouTubeなんかは音声を垂れ流しにして何かの作業をしながら音声だけ聞くという人も少なくないと思われるが、これが在宅勤務と組み合わされると仕事をしながらYouTubeで動画を垂れ流しにしているといった状況がしばしば生まれる。

オフィス勤務であれば、会社のPCで業務時間中にYouTubeの動画を1日何時間も再生していれば気づかれし、場合によっては注意されることもあるだろう。しかし、在宅勤務で私物のPCやタブレットを使用していれば、会社がそれに気づくことはない。

一方、YouTubeでは特に顕著に思われるが、これらのサービスは自分の好みに合ったコンテンツをお勧めしてくれるという傾向がある。

例えば旅行関連の動画を何本か見れば、同じチャンネルか別のチャンネルかという違いはあるものの旅行関連の動画が画面に表示されるようになる。

しかも、YouTubeには次の動画を自動で再生してくれる機能があるのだ。まさに「ながら視聴」にうってつけの機能といえるだろう。

これらが合わさった結果何が起こるか。

  1. 在宅勤務になるなどのきっかけで、私物のPCやタブレットYouTubeを見始める。YouTubeは50代前後の世代やもっと上の世代にも知名度があり、何らかのアプリをインストールせずともブラウザで容易に見ることができるからだ。
  2. ここで初期に触れるコンテンツによってYouTube側でその人の好みそうな動画を判定し、次々にお勧めしてくる。自動で次の動画が再生されるので、視聴者の側はただ待っているだけでも良い。
  3. 上で初期に何らかの政治的思想を比較的強く帯びた動画を見ていた場合、あとはその方向性の思想を帯びた動画が大量に連続再生される。
  4. 他の作業をしながらでも音声は流せるので、あまり忙しくない時には音声だけ流し続けながら仕事をする、あるいは夜の自由な時間を動画の視聴に充てるようになる。さすがに1日8時間とまではいかずとも、1日3時間程度見るということは十分考えられるだろう。

このようにして、特定の方向性の思想を持った動画を1日数時間視聴するというサイクルが確立される。

こういった下地ができていると、見ていた動画の方向性によっては「バイデンたちは不正選挙をしている、アメリカの多くのメディアはトランプさんをいじめている」といった考えを発言するようになる。

当然これも一つの考えで、実際アメリカのメディアが反トランプ色が強いように思われるが、不正選挙という点はやや怪しいように思われる。

日本の選挙では翌日には開票が終了して結果が出るが、今回の大統領選は特にバイデン候補への支持が厚い都市部の有権者の多くが民主党の呼びかけに応じて郵便投票を利用し、一方トランプ大統領への支持が強い地方の有権者は投票所で投票を行ったとされている。この結果、都市部の郵便投票の開票が遅れ、トランプ大統領が優勢だった州で終盤になってバイデン候補が逆転するという状況が見られたようだ。実際、開票速報を見ても特に開票の遅れていた州では都市部の開票率が低かった。これらの地域で都市部のバイデン票が最後にカウントされて逆転したという説明には説得力があるのも事実である。

もちろん日本の選挙に慣れた人間からすれば、特に州ごとの開票結果しか見ていなければ、ここで不正を疑うというのも大いに理解のできる考えではある。

読解力≠行間を読む力

現代文(特に論説文と呼ばれるタイプの文章)の試験では、何らかのステートメントに傍線が引かれ、「〜とあるが、どういうことか。」といった、説明を要求する問題がしばしば出題される。自分がこんな試験を受けていた時は「めんどくせえなあ」といった感情を抱きがちであったが、筆者が言っていることをその通りに理解するというのは試験で問題にできるくらい重要かつある程度の鍛錬が必要な能力なのである。

我々の会話は時に「行間を読む」行為あるいはこれに類する作業が重要になってくる。例えば「行けたら行く」は、単純な条件分岐だけではなく文脈によっては「行けない、行かない、行きたくない」といった意味になりうるし、「ぶぶ漬けでもどうどす?」は京都の人間が言えば「いい加減さっさと帰れこの野郎」といった意味にもなりうるのだ。

そして、会話における多くの場面で、論理的にどうであるかという読解は必ずしも適切ではなく、行間を読むことが求められる。ゆえに、多くの人間は何もしなければ行間を読む力を働かせてコミュニケーションを行うのではないだろうか。

「お前らの親がガチでトランプを支持していて夕飯一緒に食べてる時に選挙結果をバイデンの陰謀だって言い出したらどうする?(実話)」

 

久々に親と一緒に夕飯を食べていたら、マジでこう言ってきた。以前からトランプ大統領を支持しているということは(主観的には)割と強く表明してきていたので、これを言い出すこと自体はそれほど不思議ではない。しかし、そこで上に書いたような「不正というが都市部のバイデン票が集計されただけではないか」という話をしたのがいけなかった。

少なくとも「不正とされるが実態はこうではないか」と主張することとバイデン候補を支持することは論理的には関係ないはずだ。実際その時も今もどちらかの候補を明確に支持し、もう一方の候補を明確に支持しないということはない。

しかし、私も含め、日常会話というのはいちいち明確な論理構造を気にして行わないのが大半だ。どうも親にとって私の発言は私がバイデン候補を支持しているという印象を与えてしまったらしい。(私も親ももう立派な大人なのだから、些細なことで関係を悪くするのはできれば避けたいし、避けられると信じているが……)

 展望

親の言うアメリカのメディアがトランプさんをいじめているという主張は反トランプ色が強いメディアが多いという意味ではある程度正しいと思われる一方、不正選挙という話は今のところ信憑性がそれほど高いとまでは言えない。訴訟で不正があったなかったという話に決着がつくのはもうしばらくかかるだろうから、少なくともそれまでは、親は不正があったと考え続けるだろう。もっとも、仮に不正があったとして結果を覆すには至らないのではないだろうか。

その後トランプ陣営が敗訴したとして(つまり結果が覆るような不正はなかったという裁判所の判断が下されたとして)、親がトランプ敗北を受け入れるのか不正を主張し続けるのか、主観的には不正を主張し続けそうに思われるが、これも根拠のまったくない霊感なので、全く予想がつかない。

いずれにせよ、何らかの政治的思想に完全に凝り固まってしまうのは良いことばかりとは思えない。いわゆるエコーチェンバーという現象がツイッターをはじめとしたSNSでは発生しやすいと言われているが、YouTubeも同様であるといえるだろう。もしここまで読んだ人の親がYouTubeを見始めたら、あるいはツイッターのようなSNSを始めたら、こういったことになる可能性を頭に留めておいてもいいだろう。一緒に顔を合わせて話せれば、完全に思想が固まってしまうことも防げるかもしれない。

 

 

 

でもガチで不正やってたらそれはそれでめちゃくちゃ面白いので正直トランプ陣営には徹底的に法廷闘争で抵抗して欲しい。

 

以上