首都圏の鉄道各社の大晦日から元日にかけての終夜運転・臨時列車等運行取りやめに関して思うこと

例年、大晦日や元日には終夜運転や臨時列車が運行される。これはもちろん需要があるからこそ運行するもので、実際元日の0時には(もちろん寺社の規模にもよるが)多くの参拝客が訪れる寺社も少なくない。年末年始のお寺でお手伝いをしたことがあるが、大晦日までに正月飾りを終えて、元日は夜中の2時、3時頃まで起きて参拝客の相手をしていなければならなかった記憶がある。体感では午前1時頃までは結構な数の参拝客があり、そこから徐々に人手が落ち着き、朝になるとまた大量の参拝客で溢れかえるという状態だったと思う。

ところが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大、これを踏まえた東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県の知事らが終夜運転や各種臨時列車の運転中止を要請。これをうけ、関東ではJRや私鉄各社が終夜運転や臨時列車等の運行中止を発表。感染拡大はここにも大きな影響を与えたといえるだろう。

 

年の瀬、都内某所の公園。このニュースに接して、居ても立っても居られない男たちがいた。

男たちの風貌は、異様そのものであった。毛髪の疎らな頭皮。3段はある腹。一見厭世的でありながら何かとんでもないことをしでかしそうな、野心の漏れ出す不気味な表情をしていた。

数年前の機種と思われる、一台のスマートフォンを囲み、ニュースを食い入るように見つめる男たち。

1人の男がワンカップを叩きつけるように置き、立ち上がって言った。

「ワシらの目的はなんじゃ?」

「道に則り義を尽くすことじゃ」

輪の中から声が上がる。

それに呼応するように、賛同する声が輪のあちこちから上がった。

立ち上がった男が手でそれを制し、よく通る声で再び呼びかける。

「それでは、各々大晦日までに顔の利く者に声をかけて人手を集められたい。」

一様に頷き、気合を入れるためか腹の肉をピシャリと叩いて公園を後にする男たち。その顔は、決意に満ちていた。

 

元日、未明。

都内某所に集う男たちは、すっかり人通りの途絶えた街で熱気を放っていた。

突如、男たちは沿線のフェンスを乗り越え線路に侵入。11人で1組になり、線路を走り出した。

「JRが終夜運転をしないならワシらがやってやる!」

団子になりながら山手線の線路をオイサオイサと闊歩する、異常な風貌の男たちの集団。13分間隔で次々と発車する終夜運転の山手線は夜通し走り続け、始発前に起き出した近隣住民の通報で警察とJRの職員が駆けつけた時には、汗と加齢臭の染み込んだ黄緑色のふんどしだけが大量に残されていたという。

年明け、都内で100人規模のクラスターが発生したというニュースが新聞にひっそりと掲載された。

 

新年もよろしくお願いいたします。

以上