LUUPを体験した感想など
この記事について
特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードを体験したので、その感想を書き残しておく。また、電動キックボードは自転車と概ね同様の交通規則に従うことになっているから、併せて自転車との比較についても書き残しておく。
5月下旬から6月上旬にかけて、LUUPの電動キックボードおよびアシスト付き自転車で自宅と勤務先の間を移動するのに利用した。いずれも移動距離はほぼ13km程度であった。以下にその概略を示す。興味深いことに、所要時間はキックボードならほぼぴったり70分、自転車ならほぼぴったり50分程度で、1-2分程度の差しか無かった。この移動経路では信号がボトルネックになっていることを示唆していると思う。
1回目
日中、自宅から勤務先への移動にキックボードを利用。所要時間は約70分であった。
2回目
深夜、勤務先から自宅への移動にキックボードを利用。所要時間は約70分であった。
3回目
深夜、勤務先から自宅への移動に自転車を利用。所要時間は約50分であった。
4回目
深夜、勤務先から自宅への移動に自転車を利用。所要時間は約50分であった。
感想
LUUPという乗り物について
実際に利用して体感したこととしては、電動キックボードは短距離の移動にしか向いていないという印象が強い。その理由はいくつかある。
法令上の制約
電動キックボードは最高速度が20km/hに制限されており、LUUPももちろん例外ではない。一方で自転車と同様に車道を走ることが原則であるし、車道ではなく歩道を走る場合は一度停止して6km/hしか出ない歩道走行モードに切り替えることが必要である。この制約のために現状のLUUPという乗り物は様々な点で長距離の移動には向かないことになる。
速度制限
最大の制約はここにある。筆者の場合幹線道路を走ることになるが、車道で20km/hしか出ない乗り物は周囲の交通の流れに乗ることが極めて難しい。自転車でももう少しスピードは出るし、実際日中の移動では自転車に追い抜かれることもしばしばであった。
この点、同じLUUPでも電動アシスト自転車は24km/hまではアシストが加わるので、筆者の場合はキックボードよりも自転車を利用する方が所要時間は少なかった。この時間差は信号に捕まる回数が大きく異なることに起因するものと思われる。自転車では間に合っていた青信号がキックボードでは間に合わなくなるのである。こうした点はストレスであった。
運転姿勢から来る疲れと振動
電動キックボードを利用する際は当然立った状態で乗車することになるが、この姿勢は意外と疲れる。また、電動キックボードは原則として車道の左端を走るが、この部分は舗装があまり滑らかでないことも多いため、車輪が小さいことと相まって路面から来る振動がよりダイレクトに伝わる。加えて乗車姿勢がほぼ直立に近いため、体全体で振動を受け止めることができず、文字通り脳が揺さぶられるような感覚を経験することになった。
上記のような内容のうち振動は自転車に乗車姿勢を近づけてやや腰を引き、膝を曲げるようにすることで改善するが、これはより疲れやすくなるために根本的な解決にはならなかった。
不安定さ
車輪が小さいことの弊害のもう一つは、自転車に比べて安定させるのが難しくなることである。段差に弱くなるのはもちろん、走行中でもうっかりふらつきそうになることも何度かあった。現状では自転車もキックボードもヘルメット着用は努力義務だが、どちらか一方を義務化するならキックボードのヘルメット着用を義務化した方がいいと感じるほどであった。
所要時間の不透明さ
LUUPアプリ上では所要時間が目安として表示されるが、実際の所要時間はそれよりも長い。信号で捕まる回数をうまく考慮できていないのかもしれないが、実際には70分かかるところが55分という予測になる。実際の平均速度は10-11km/hだが14km/h程度で計算しているのだろうか。こうした差異は長距離になればなるほど拡大するのではないだろうか。また、時間に従って料金が決まる料金体系のため、こうした差異は利用者が事前の予測に間に合わせようと信号無視等の交通違反を犯すモチベーションを与えてしまっている面も否めないだろう。
良い点を探すなら
とはいえ、LUUPがユーザーの側から見てまったくもって良い点の無いものというわけではない。街中には多数のポートがあるから、短距離でのちょっとした移動、例えば地下鉄で一駅や二駅分程度の距離であれば、より便利になる可能性はあるかもしれない。また、ポートさえ設置すれば良いというのは鉄道やバスの空白地帯を埋めることもできる。こうした利便性は電動キックボード自体の性質から来るものではないが、多数のポートを設置してあることで結果としてメリットにはなっているだろう。
まとめると
現状のLUUP、特に電動キックボードについては、短距離での移動であれば選択肢の一つにはなりうるかもしれないが、それは数km程度までの移動に留まる。それより長い距離であれば自転車を漕いだ方がマシではないだろうか。