木製の引き出しのネジ穴をパテで補修してみた
筆者が使っているシンクには木製の引き出しが付属しているが、この引き出しのネジ穴が広がってしまい固定ができなくなってしまった。そこで、パテを利用して補修したところ、一応それっぽくはできたので、その記録等を書いておく。
補修箇所
引き出しのネジ部分の画像を図1に示す。シンクから引き出しの本体を外し、板に本体を載せた状態である。図1中央の穴に、画像内では上から下に向けてタッピングネジを通し、引き出し本体と板を固定している。図2に示されているように、これと同様の構造が反対側にもあり、左右の2カ所で板を支えている。今回は片側の穴はほとんど広がっていないが、反対側の穴が主に取り付け時の上下方向に広がってしまっていた。しばらく放置された間に板の自重によりこのようになったのかもしれない。


補修作業
補修は一度ネジ穴をパテで埋め、そこに再度タッピングネジを通すことにより行った。
ネジ穴の位置決め
後のステップで穴を空ける際の目安として、ほとんど広がっていない側のネジ穴の位置を基準として広がった側のネジ穴の正しい位置を確認しておいた。図1,2をよく見るとその痕跡があるのがわかる。
図1,2に写っている引き出し本体側の穴は使用するネジに対して比較的遊びがあるので、それほど厳密に位置を決める必要は不要だった。引き出しを閉じた際に下側が干渉しないように、少し低めの位置に空けておくことにしたのだが、結局穴空け時は現物合わせで行ったので、ここで決めた穴位置は結局ほとんど使わなかった。
パテによる穴埋め
まずネジ穴をパテで埋める。使用したパテは以下の商品である。
穴の中にパテを注入する際に気泡が入ると後でネジで固定する際に強度に問題が出そうなので、シリンジと注射針を使って穴の奥から注入していくことにした。シリンジと容器の口を密着させて容器を押しながらシリンジを引くことで直接シリンジに取り、穴の奥からゆっくりと注入したのだが、パテの粘度が想像以上だったので、結局気泡が回避できたかというと微妙だった。とはいえ注射針で奥の方から注入したので、ネジ穴の上から直接注入していくよりはマシだったと信じたい。パテは乾燥するとへこむので、穴が埋まっても山になるまで盛っていく。パテなんてそう使う物でもないので、ケチる必要はない。盛った状態が図3である。

盛り終わったらパテを乾燥させる。商品説明によれば20℃・24時間後には研磨や切削も可能とのことなので、念のため二日程度置くことにした。
乾燥後の穴処理
パテが乾燥したのち、穴の周囲をカッターナイフややすりで削り、形状を整える。金属やすりを使うと簡単に削れたので、そこら辺に落ちているやすりを使った。
下穴空け
金属にネジ穴を切る場合、原則として下穴は必須である。今回使用するネジは1種(A形)呼び径4mmのようなので、以下のサイトを参考にすれば大体3mm程度の径ということになる。一方今回は木材用パテで、キリ穴の時点でかなり柔らかい感じがしたので、一旦かなり細めに1.5mm程度で空けておき、明らかにネジが入らないようなら少しずつ広げていくこととした。
下穴の深さについては目安が無かったが、パテが十分柔らかいのでとりあえずネジの深さより少し短い5mm程度まで空けることにした。
位置を決めたら養生テープで仮留めして、様子を見ながら微調整していく。図1,2は仮留め時の撮影である。満足したらキリで下穴を空けてドリルで整えた。
ネジ締め
ネジを締めこんで完成。ネジは頭をなめないように、基本的に工具で押さえつけながら回す必要があるが、電動ドリルを使うと押さえつける方に集中できて良い。図4に引き出し取り付け後の状況を示す。今のところ問題なく使えているので、とりあえずこれで様子見していく予定である。

振り返り
以上が今回の作業の記録だが、振り返ってみると思うところもいくつかある。
- そもそも補修時点で片方の穴はまだネジが食い込んでいたので、その段階でパテの注入から現物合わせでの穴あけまで行っていればもう少し手早く作業できただろう。
- 一方でこの場合、食い込んでいる方のネジ穴の強度には不安が残る。
- また、今回空けた下穴は当初予定位置より上下左右とも数ミリはずれていた。あえて一度分解してから補修したことで筆者の好みの位置に合わせることができたともいえる。
- 木工用のパテはかなり強度が低いように思われる。今回は頻繁に開け閉めすることのない引き出しなのであまり問題ないだろうが、強度が求められる箇所には使うべきではないだろう。
- とはいえ、そもそも強度が求められる箇所に木材は使わないだろうから、逆にパテが使える場所ならそれほど問題ないのかもしれない。
- シリンジを使ってパテを注入するのはシリンジに吸引する際の気泡を解決できれば有効だろう。今回は面倒くさがって容器から直接取ったが、これもうまいやり方はあるのかもしれない。
- 注入時に使用した針は18Gでもかなり細く感じたので、もっと太いものあるいはチューブでもよかったかもしれない。
- 電動ドリルは木工用でもほとんど必須だろう。筆者が使ったものは回転軸が目で見て分かるほどぶれているが、それでも無いよりは断然マシだった。
以上
